February 2019
コーヒーショップでの一夜
さて、ここから先の旅が大変だ。 車さえあれば5ドルぐらい払ってキャンプ場に停め、寝袋で野宿すれば極めて安上がりだ。シャワーも完備されている。実際、ミシガン州から西海岸までは、そうやって旅をしてきた。 ところが車が無いとなれば、話しは全く別だ。どんなに安ホテルに泊まっても、数十ドルは吹っ飛ぶ。移動にもお金がかかる。飛行機は高すぎて手が届かないので、鉄道が発達していないアメリカでは、グレイハウンドのバ [...]
サンフランシスコで坂道駐車
とりあえず「押し掛け」でエンジンをかけ、ガソリンスタンドを脱出することはできた。ただ、この先はどうしたらいいのか。 オルタネーターが壊れているのでバッテリーは充電されない。ホテルに到着してエンジンを切ったが最後、再び「押し掛け」のご厄介となる。そのたびに通行人を呼び止めていては申し訳ないと、僕はサンフランシスコの坂道を利用することを思いついた。 ご存知のように、サンフランシスコは坂道だらけだ。坂道 [...]
ガソリンスタンドで立ち往生
事故でオルタネーターが壊れたことに気づかず、僕はそのまま友人たちが待つシアトルまで運転を続けた。半壊した右ヘッドライトはガムテープを使って友人宅で修理し、そこでカトリーヌと分かれた。 次の目的地はサンフランシスコ。ここからは独り旅だ。 もともとエアコンなどついていない車だったし、昼間の運転だったため、シアトルからサンフランシスコに着くまではバッテリーは何とか持ちこたえ、僕は異常に気がつかなかった。 [...]
オルタネーターの故障
半壊した右ヘッドライトは、シアトルに到着した時の友人宅でボンドとガムテープを使って修理した。こんな車でも公道を走れるのだから、アメリカは本当にアバウトな国だ。 ただし、この事故でオルタネーターが損傷していたことを、僕は後で知った。オルタネーターとは発電機のことで、エンジンの回転を利用して発電し、走行中にバッテリーを充電し続ける役割を担う。 これがなければ車の電気系統はすべてバッテリーの容量に依存す [...]
軽率で無責任な自分
後部座席で横になって眠っていたカトリーヌが衝撃で目を覚まし、何があったの? と不機嫌そうな顔で訊いてきた。 いや、ちょっとガードレールに擦っただけだと説明しておいたが、今から思うとまさに悲劇と紙一重だったわけだ。このガードレールが無かったらどうなっていたことだろう。車は深い谷底に向けて真っ逆さまに転落し、カトリーヌと僕の命を一瞬にして奪い去ったに違いない・・・ 僕は身震いし [...]
右前方に衝撃
突然、視界が真っ暗になった。いや、「真っ黒」と言った方がいい。僕は睡魔に耐え切れず、無意識にまぶたを閉じていたのだ。 車の右前方に衝撃を感じて目を覚ました僕は、反射的にハンドルを左に切った。対抗車線に大きくはみ出した車は、急ブレーキをかけなければスピンを回避できる。僕は方向を修正しながらブレーキを丁寧に踏み、車を路肩に停めた。 外に出て衝撃のあった右前方を確認すると、右ヘッドライトのあたりに大きな [...]
ロッキー山脈越え
シアトル到着が予定よりも遅れ気味だったので、僕たちはロッキー山脈の曲がりくねった坂道を、夜を徹して運転した。 例によって、ひとりがガソリンが無くなるまで運転を続け、ガソリンスタンドで給油するタイミングで運転を交代する。メキシコ登山ツアーの時からお馴染みの、ノンストップ・ドライブだ。 いつもは助手席で仮眠をとるカトリーヌも、次の交代に備えて十分な睡眠をとろうと、後部座席で横になって眠っている。ロッキ [...]
January 2019
愛車でひたすら西へ
僕の愛車フィアットは、時々オーバーヒートはしたがなんとか健在だった。 座席は一応4つあるが、スポーツカーなので後部座席は飾りみたいなものだ。ヨーロッパ車なので車体も小さい。トランクに荷物を詰め込み過ぎると、せっかく網で修理した底がぬけるかもしれない。 僕は後部座席にテントのセットと寝袋を押し込み、助手席にカトリーヌを載せて、数々の思い出を懐かしみながらミシガンの大学キャンパスをあとにした。 通常、 [...]
大陸横断旅行
春学期はあっという間に過ぎた。6月上旬には期末試験が終わり、いよいよ長い夏休みだ。僕は9月までに日本の大学に戻れば良かった。 時間はたっぷりある。いろいろなことにチャレンジし続けた1年の総仕上げとして、僕はアメリカ大陸横断旅行を計画した。 大学のあるミシガン州からイリノイ州のシカゴを通過し、少し南のルートをとりながら広大な中西部を西へ西へ、コロラド州やワイオミング州を経てイエローストーン、そしてシ [...]
イタリアのスポーツカー
アルバイトに精を出しながら、僕はキャンパスの掲示板や新聞の広告を毎日のようにチェックした。 そうやって2ヵ月ぐらい過ぎたある日、175ドルの車を新聞の「FOR SALE」広告欄で見つけた。驚くなかれ、今度は憧れの外車だ。しかもフェラーリと同じイタリアのフィアット社のクルマで、850 Sports Coupe というモデルだ。それが175ドルなんて、信じられない! 早速アポイントをとってクルマを見せ [...]
合理的な寮生活
カラマズー大学はクオーター制をとっていて、1年を4つに分割している。 夏はサマースクールやボランタリー活動などに当てられるので、ほとんどの学生にとっては夏休みとなる。 新学期となる秋学期(Fall Quarter)は、9月の初めにオリエンテーションがあり、9月上旬にクラスが開始され11月中旬まで続く。渡米後、高校時代の友人たちを訪れながら夏休みを過ごした僕は、8月末に大学キャンパスに到着し、寮への [...]
置き去りにされたクルマ
Steamboat で春スキーを満喫した僕たちは、再びデンバーに寄ってベスを拾った。明後日からは春学期が始まる。往路と同じようにぶっ続けの交代運転で、僕たちは帰路を急いだ。 春学期が始まって2週間すると、友人のデクスターが僕に頼みがあると言ってきた。イースターで週末だけ実家に帰りたいので、クルマを貸してくれないかとの相談だった。飛行機は高いので、同じNY出身の友人たち数人とクルマをシェアして安く上 [...]