高電圧の実験

高電圧の実験

そんな僕たちを尻目に、彼は平気でコイルの近くに指をかざし、指先に集まる稲妻を楽しむかのように微笑んでいた。テスラ・コイルだった。交流を発明した旧ユーゴスラビアの天才科学者、ニコラ・テスラが考案した高電圧発生装置だ。

このコイルは単なる高電圧装置ではなく、共振を利用してエネルギーを空間伝播するという彼の研究テーマを、実に簡単な仕掛けで具現化したものだ。 ニコラ・テスラは、天才であるが故に損得には全く無頓着で、不遇な人生を送った。

アメリカに渡ってエジソンの弟子となるも、直流派のエジソンに壮絶な戦いを挑み、やがてジョージ・ウェスティングハウスと共に交流発電を事業化し巨万の富を手に入れる。

ここまでは彼の成功物語だが、そんなことで満足する男ではなかった。無線によるエネルギー伝播を極めようとした彼は、全財産を投げ打って、巨大な実験設備を建設する。コロラド・スプリングズ一帯を停電に追いやった彼の実験は有名だ。

地球自体を巨大なコンデンサーと捉える彼は、この実験で地球の共振周波数を測定できたと主張した。彼は全世界のエネルギーを生産・制御する「地球システム」を創り上げようとしていたのだ。彼の理論がもし現実のものとなっていたならば、全世界の送電線は不要になっていたはずだ。

その後の彼の発言は益々エスカレートし、「半年もあれば地球を真っぷたつにできる」などと暴言し、それが地震兵器などの発想につながっていった。オウム真理教の「粒子兵器」も、このニコラ・テスラの論文を参考にしている。

一時は社交界の注目の的となり、有名女優などから持てはやされたにも拘わらず、彼は生涯独身を貫き、晩年はハトと寂しく遊びながら小さなアパートでその生涯を閉じたそうだ。

アメリカやドイツには、「テスラ・コイラー」と呼ばれるオタクたちが多数存在し、いかに大きな稲妻を創りだすかで絶えず競争している。数百万ボルトの装置はごく普通で、中には数千万ボルトから一億ボルトを超えたものもある。

理論的には簡単な無線工学で設計はできるものの、計算どおりの正確なキャパシタンスやインダクタンスを持つ部品を作り出すのは至難の業で、かなりの職人芸と試行錯誤を要する。

僕もヤフオクで、二次電圧が 15,000 ボルトの中古ネオン変圧器を二千円で手に入れた。二次電圧 7,000 ボルトぐらいのものはよく出るが、1万ボルト以上のものは比較的少ないので、いい買い物だった。問題は、この二次側に接続する高電圧コンデンサーが手に入らないことだ。

オイルとビールの缶を使った自作事例もあるが、これだと設計どおりのキャパシタンスを実現するのは不可能に近い。一応ヤフオクにはキーワード登録し、関連部品があればメールが来るようにしているが、未だに使えそうなコンデンサーは見つかっていない。読者でお持ちの方がいれば、是非ご連絡をいただきたい。

By |2018-11-21T14:17:26+00:00November 19th, 2018|Categories: スターに成り切る, 亜米利加遊学記【大学編】|0 Comments

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