偏った学力

英語は全く心配なかったが、僕の学力はかなり偏っていた。

人間関係に興味がない僕は、社会科が超苦手だ。論理的な因果関係のない事象は全く頭に残らない。小学校の頃から、りんごやみかんがどこで採れようが興味なかったし、行きたくもない国の首都の名前とか、昔の人がああしたこうしたとか、なぜこんなに皆、ゴシップが好きなんだろうと不思議に思っていた。

一方、小学校5年の時に、たまたま手にとった「百万人の相対性理論」という本にはまってしまった。マイケルソン・モーリーの実験で光速の普遍性が証明され、重力と加速度が等価であると仮定すると、光が重力によって曲げられる事実などが思考実験によって説明できるなど、明解な推論が心地よかった。

そのせいだろうか、「ニュートンの運動方程式と、マクセルの電磁方程式と、シュレジ ンガー方程式さえ記憶しておけば、20世紀のあらゆる事象はこれらから導き出すことができる・・・」などという極論に惚れ込み、物理は僕の得意科目となった。

数学は、中学時代には天才少年と呼ばれていたが、高校1年の時に落ちこぼれた。 5月まではクラスのトップを快走していたが、基礎を築く一番大切な5月〜8月の期間、僕は病気で入院していた。そのせいと言えば都合良く聞こえるかも知れないが、古文や漢文も基礎を築けず、ちんぷんかんぷんとなってしまった。

原因は十二指 に突然、小豆大の穴が開き、胃の切除手術を受けたことだ。切除された胃には潰瘍の跡も兆候も全く存在せず、原因は未だに不明、その病院にはホ ルマリンに浸けた僕の胃が、極めて珍しいサンプルとして今も保存してある。

53キロあった僕の体重は1週間の絶食で43キロまで減ったが、それでも順調に回 復し、手術後2週間を過ぎた頃にはそろそろ退院できるのではないかと、念のためレントゲンを撮った。ところが、1年後に母から知らされたことだが、そのレントゲン写真には、僕のお腹の中に置き忘れられた手術用のハサミがくっきりと写っていたのだ。

病室に入ってきた先生は、「腸がねじれているから再手術が必要だ」と暗い顔で言った。局部麻酔の再手術は自分の腹を引っ掻き回されるような感じがして辛かったが、その先生を憎むようなことは無かった。2度目の手術代は無料にしてくれたし、腹膜炎を起こしあと20分手術が遅かったら命を失っていた僕を救ってくれたわけだから、正直に事実を話してくれただけでも 良かったと思っている・・・

By |2018-11-11T08:20:25+00:00November 11th, 2018|Categories: リアルワールドへ, 亜米利加遊学記【高校編】|0 Comments

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