英語を読んだり聴き取ったりは多少できても、話したり書いたりするのが苦手ではありませんか? その理由は、英語をアウトプットするトレーニングが圧倒的に不足しているからです。

とは言っても、アウトプットだけではいけません。やみくもに文章を組立てようとしても、ブロークン・イングリッシュになるだけです。常に美しい英文に触れ、それを頭の片隅に残しておき、完全に忘れ去ってしまう前に自分で使ってみる必要があります。

何度もお伝えしているように、インプットとアウトプットのバランスが重要です。よい例をインプット(読む・聞く)したら、それをアウトプット(書く・話す)して定着させること。その繰り返しで、初めて「使えるように」なるのです。

日頃から模範的な英文に触れるには、好きなテーマについて書かれた Kindle 書籍が有効です。平坦な英文で書かれた読みやすい本を選びましょう。知らない単語があったら、タップするだけで日本語訳が表示されるので、単語力の強化にも有効です。

こうしてネイティブの英文に日々親しむことで、アウトプットが楽になり、英語を使う力がついていきます。中学程度の基本的な文法の知識があれば、主語・動詞・目的語から成るシンプルな英文を書くことは容易なはずです。インターネットが普及した今、英語でメールを書いたり、Facebook や Twitter に投稿したり、海外のネットショップに質問したりなど、英語をアウトプットする機会は無限にあります。

ところが、いざ英文を書こうとすると、そこには多くの「壁」があります。この名詞の前は a を使うのか the を使うのか・・・ 複数形なのか単数形なのか・・・ そして多分いちばん多いのは、前置詞の使い方でしょう。

これらを間違えると、意味は何とか通じても、ネイティブが読むと「ヘンな」英語になってしまいます。間違えて使った英語は、間違えたまま定着してしまいます。つまりいつまで経っても、正確な英語が書けるようにはならないのです。

そこで今日の本題です。そんな悩みを一掃する、最強の美人秘書「グラマリー(Grammarly)」をご紹介しましょう。文法を自動で完璧にチェックしてくれる、無料の「超便利お役立ち」ツールです。

セクシーな美貌を意味するグラマー(Glamour)ではありません、文法のグラマー(Grammar)です。カタカナで書くと同じになってしまうので「美人秘書」とかけてみましたが、エルとアールは全く異なる発音ですので、区別がつかない人はコチラの教材でしっかりと発音練習をしてくださいね。

 

さて、サイトにアクセスしてログインすると、こんな画面になります。

Grammarly Dashboard

左側の「New」と書かれた部分をクリックするとブランクページが開きますので、そこに英文をタイプしていけば、自動でチェックしてくれます。任意のワードやテキストファイルをアップロードすることもできます。

どんな感じでチェックしてくれるのでしょう? 右側の「Demo document」をクリックすると、実際のサンプルが表示されます。上から順に修正例を追ってみましょう。

原文では「8歳の子供」を、「eight year old kid」と書いていますが、一見、問題ないように思えます。日本人の多くはこう書いてしまいがちですが、文法的には誤りです。「8歳」という部分は、「子供にかかる形容詞」なので、そのためにはハイフンで結ぶ必要があるのです。右側の緑色でハイライトされた部分をクリックすると、本文が自動的に修正されます。

 

次の行では、こんなエラーが指摘されています。

たまに見かける間違いですが、コンマやピリオドの後ろには、必ずスペースを入れなければなりません。ネイティブでも、急いでタイピングした時にスペースを入れ忘れたりします。これも緑の部分をクリックすると、自動的に修正してくれます。

 

さて次は、日本人に非常に多い、前置詞の誤りです。動詞に続いてどんな前置詞を使うべきか・・・ もうこれは慣れるしかありません。微妙なニュアンスの違いや、動詞の意味に与える影響を、感覚的に把握して覚えてしまうしかないのです。

でもご安心を。使い続けているうちに習得できます。それにはもちろん「正しく使う」ことが大前提で、ここでも Grammarly が威力を発揮します。

原文では「交通渋滞につかまった」というのを「stuck at」と書いていて、何となくそれで良さそうです。でも正確には「stuck in」なのです。

 

次の例は、中学で最初に習う不定冠詞の使い方。母音で始まる単語の場合は、「a」ではなく「an」になります。

 

以下の「decide」のように、目的語が不定詞なのか動名詞なのか、迷ったことはありませんか?

不定詞になるのか動名詞になるのかは、動詞によって違います。この例の「decide」では、動名詞を使うのは間違いです。

目的語が動名詞になる動詞は比較的少なく、私が高校の時は「メガフェ族(MEGAFE 族)」と語呂合わせして覚えました。つまり、Mind, Enjoy, Give up, Avoid, Finish, Escape の略です。最近ではこれに  put off と stop も加えて、「メガフェプス(megafeps)」と覚えることが多いようです。

何故?と言われても、そうなっているからとしか答えようがないのですが、Grammarly が完璧にチェックしてくれます。

 

さて、このように実に頼りがいのある Grammarly ですが、使い方としては3つあります。

  1. ブラウザー経由でサイトにアクセスし、オンラインでチェックする(Chrome, Firefox, Safariのみ)
  2. Grammarly のアプリケーションをダウンロードし、PCにインストール・起動する
  3. 拡張機能としてブラーザーにインストールし、ブラウザ上での入力をチェックする(ChromeとFirefoxのみ)

論文などの長文をチェックする場合には 1. または 2. の環境で使い、日常のちょっとしたメール作成やコメント投稿には、3. が使い易いでしょう。

さらに 3. の方法でブラウザーの拡張機能としてインストールしておくと、Google Dictionary と組み合わせて、英単語をクリックするだけでその意味や使い方を詳細に知ることができます。

この例では「rely」をダブルクリックしてみました。黄色のバルーンが Google Dictionary による和訳の表示で、その下の白色のバルーンが、Grammarly による英語の説明です。以下の3つのパートに大きく分かれています:

  • with on or upon, formerly also with in
  • To rest with confidence, as when fully satisfied of the veracity, integrity, or ability of persons, or of the certainty of facts or of evidence;
  • to have confidence; to trust; to depend.

最初は、rely がどんな前置詞と一緒に使われるかです。rely on, rely upon, そして以前は rely in という用法もあったようです。その次は英語による意味の説明で、ニュアンスがよく分かるように詳細な説明書きになっています。さらに続けて、いくつかの同義語が列記されています。

どうですか? とでも懇切丁寧で、優秀な秘書でしょ?

いずれにしても、普段から「正確な英語」を書く癖をつけて、使いこなせる英語をどんどん増やしていきましょう。そのためには、Grammarly は必要不可欠なツールなのです。