シアトル到着が予定よりも遅れ気味だったので、僕たちはロッキー山脈の曲がりくねった坂道を、夜を徹して運転した。

例によって、ひとりがガソリンが無くなるまで運転を続け、ガソリンスタンドで給油するタイミングで運転を交代する。メキシコ登山ツアーの時からお馴染みの、ノンストップ・ドライブだ。

いつもは助手席で仮眠をとるカトリーヌも、次の交代に備えて十分な睡眠をとろうと、後部座席で横になって眠っている。ロッキー山脈は夏でも冷え込むためか、寝袋の上に毛布までかけている。その中から、かすかな寝息が聞こえる。

深夜のドライブは幻想的だ。ハイウェイと違って道路を照らす街灯がほとんどない山道は、自分のヘッドライトだけが頼りだ。ハイビームにすれば比較的遠くまで見通しがきくので、道路を横切る動物に注意しながら制限速度ちょうどのペースを維持する。夜中を過ぎると対向車も希で、ロービームに切り替える手間も省ける。

朝の4時頃、徹夜の連続運転で疲がたまってきた僕を、どうしようもない睡魔が襲ってきた。

今日の午後にはシアトルの友人宅に到着せねばならないと焦っていた僕は、休憩所への出口を無視し続けた。ボーっとし始めた僕の意識は、明るくなり始めた外の景色と車のインパネとの間を行ったり来たりしている。

ふと我に返ると、対抗車線に大きくはみ出して走行している自分に気がつき、慌てて車線をもとにもどした。次の休憩所で仮眠をとろう、そう思いながらしばらく運転して緑色の出口サインを見ると、「まだ行ける、もうひとつ」という具合に運転を続けてしまうのだ。

朝靄の中、左右に曲がりながら延々と続く山道から外れそうになっては慌てて軌道修正し、しばらく走ると再び睡魔が襲って来る・・・ その繰り返しだ。そんな運転を続けながら衝突事故を引き起こさなかったのは、早朝にロッキー山脈を通過する車が殆どなかったおかげだろう。

それがどんなに危険な行為だったかを、この直後に、僕は初めて思い知ることになる・・・・・・