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スキー・レッスン

スキー・レッスン

感謝祭を過ぎると、五大湖に隣接した中西部のミシガン州は、さすがに寒くなってきた。近くの丘を利用した、10回のスキーのコースが発表されたのはそんな頃だっ た。大学1年の時に一度だけ誘われ、友人から借りた2メートルのスキーに悪戦苦闘した苦い思い出のある僕は、絶好のチャンスだということでさっそく応募した。スキーが初めてという学生たちが10人ぐらい集まった。

このスキー・レッスンは、まさに異次元の体験だった。わずか10回のレッスンで、全くの初心者だったクラス全員の学生が、中程度の斜面を軽やかなウェーデルンで自由自在に滑ることができるようになったのだ。その秘密は、GLMと呼ばれるレッスン方式にあった。GLM とは Graduated Length Method の略で、つまり長さを段階的に増やしていく手法のことだ。

レッスン第一日目、僕たちは全員、45センチのスキーを履かされた。横に一列に並ぶと、インストラクターは、その場で軽くジャンプして方向を変えるよう指示した。それを何度か繰り返し、膝を柔らかく利用した抜重による方向転換のコツを学ぶのだ。

平地で抜重による方向転換ができるようになると、緩やかな斜面に移動し、やはり同じ場所での方向転換を何度も練習する。膝を曲げては伸ばし、スキーの方向を変 えてはまた膝を曲げて・・・の繰り返しだ。 わずか45センチのスキーなので、スケート靴よりも操作は易しい。やがて、誰もがバタバタという音を立てずに、スムーズに方向を変えることができるようになる。

次の課題は、その斜面をゆっくりと、斜めに滑っていくことだ。斜面の端まで行ったら、さっきの要領で方向転換をする。そしてまた逆方向に斜めに滑っていく。最初はそれぞれの動きに連続性がないが、何度も練習していると次第にスムーズになり、いつの間にかパラレル・スキーと同じ動きになっている。これで第一日目は終わり。全員、45センチのスキーを履いて、パラレル・スキーのテクニックをマスターしたということになる。

二回目のレッスンでは、45センチのスキーが90センチになる。その日のゴールは単純だ。第一回目で到達したところまで、今度は90センチのスキーでやってみなさいということだ。いったん45センチのスキーで要領を把握している身体は、たとえスキーが90センチになったとしても迷うことはない。練習を重ねるうちに、いつのまにか何人かは90センチのスキーでもパラレルができるようになっていた。スキルの定着を促すため、三回目も90センチによるレッスンを継続する。

4回目と5回目は120センチのスキーを履いて、90センチのスキーで到達したレベルに達するまで、同じことを練習する。6回目からは150センチのスキーになり、以降、長さが増えることはない。内股が痛くなるようなカッコ悪い「ボーゲン」などは全く必要ないし、短いスキーでヒラリヒラリと宙を舞うような滑りができるため、5回目ぐらいからは全員、スキーが楽しくてしょうがない、という感じになってくる。あとは細かいテクニックを先生が個別に教えてくれるというわけだ。実際、この GLM 方式は、スキー技術の習得スピードを数倍に高めるという話をきいたことがある。

このスキーのレッスンにおいて特長的だったのは、短いスキーから始めて段階的に長くするという独自のアイデアに加え、「細かいことはガタガタ言わないから、とにかくやってみろ」というアメリカ独特のポリシーだった。

スキーだけでなくゴルフでも何でもそうだが、アメリカではまず、やってみる・より良い結果を出す、ということを最優先する。気持ちよく滑れればいい、ボールがまっすぐに遠くまで飛べばいい、などと結果重視で、細かい「型」にはこだわらない。 やれ親指の付け根に重心を置け、膝がどうのこうの、グリップはこうだ、などと、細部から入る日本の方式とは対極をなす。 日本のゴルフ雑誌などを読んでいると、信じられない程の様々な細部テクニックが満載されているのに驚く。しかも各自が編み出した独自の些細な方法を、さも普遍的な宇宙的法則かのように理論展開し、だれひとり、本質を語っていないのだ。

日本ではSAJ(全日本スキー連盟)という官公庁のような財団が、インストラクターなどの各種資格やバッジテストなどの合否条件を細かく決め、滑り方の「型」にまで 口を出し、ルールを決めるようだ。日本のスキー場で、コブコブ急斜面をしばらく眺めていると、上級者は皆、ロボットのように全く同じ滑りをするのに気づくはずだ。画一化された「正しい滑り方」に洗脳された結果だが、それはそれで美しい。

問題は、世の中の流行が変わると急に方針転換し、今度は全く異なった滑りを奨励するようになることだ。大回転競技でも、昔はエッジを極端に立て、「斜面を切る」 ような滑りが理想とされた。それがいつの間にか様変わりし、今では「エッジはなるべく立てず、スキーをフラットに保って滑らせろ」などと、正反対のことを言うようになった。 その昔、もしエッジを立てない滑りができる逸材がいたとしたら、だからお前は駄目なんだと教師から猛特訓を食らって矯正させられていたことだろう。若い才能はこうして潰されていく・・・

「これがあなたの目標です。最高の結果を出しなさい。そのためにはあなたの持つあらゆる能力を総動員しなさい。ここがあなたの優れたところです。こんなことも トライしてみたらどうでしょう」がアメリカ方式ならば、「これこれこうしないと最高の結果は出ない、お前はまだ修行が足りない。俺にはお前の悪い点が見える。ここを直せ」というのが日本方式だ。こんな連中が取り仕切っている限り、いつまでたっても日本からスーパースターが生まれることはないだろう。

このスキー・レッスンに通いながら、毎回、僕の心を奪う光景が見られた。レッスンが行われる緩やかな斜面の隣には、斜度が40度以上はあると思われるコブコブの急斜面があった。丘を切り開いて作ったと思われるエキスパート用の急斜面だ。表面には不規則なコブがびっしりと並び、しかもその表面はテカテカに光っている。 このレベルの斜度になると、雪が降っても積もらない。シーズン初期に降った後に滑り固められた雪が、午後の日差しで溶けては凍結を繰り返し、硬いアイスバーン となった氷の壁だ。

アイススケートのリンクを波打たせて垂直に吊るしたようなその斜面を、なんと蝶が舞うように滑り降りるスキーヤーたちがいた。 彼らは、エッジをはずさないようにスキーを正確にコントロールしながら、氷の斜面を舞う。エッジ・ウェーデルンやエア・ターンを駆使するので、文字どおりダンスをしながら舞い降りるように見える。

スキーの両端についたエッジをナイフとみなし、これで氷を「切って」いく彼らにとって、スキーは4枚の刃を備えた刀だ。刀で氷を切りつけるように、スキーのトップから斜めに氷の斜面に切り込み、そのまま刃の角度を一定に保つ。スキーのしなりとカービングで緩やかな弧を描いた次の瞬間、反対側のエッジに切り替えてスキーのトップからまた新たな切り口をつくるのだ。

エッジという刀の扱いを完璧に習得すれば不可能ではないが、エッジが切り口から外れた途端、斜面の下まで真っ逆さまに転落する。チリッ、チリッ、という独特の音を立てて彼らが舞い降りた後には、斜面にカミソリで切り刻んだような傷跡が残る。 こんな連中のことを、エクストリーム・スキーヤー(Extreme Skiers)と呼ぶ。Extreme つまり極限に好んでチャレンジする命知らずのフリークたちだ。彼らは不可能を可能にするテクニックを考案し、それに磨きをかけ、ついに人間業とは思えないようなパフォーマンスを披露するようになる。

アメリカ人の本質を一言で表現するならば、この「命知らず」という言葉だろう。危険区域に飛び込み、むき出しの岩壁だらけの斜面をジャンプしながら滑ったり、立ち並ぶ木々の間を高速で滑りぬける Tree Ski などという、命がけの狂気じみたジャンルまで確立してしまったりする。

By | 2017-06-25T03:44:07+00:00 June 25th, 2017|Categories: コンテンツに没頭, スターに成り切る, リアルワールドへ|0 Comments

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